愛媛大学農学部 食料生産学科

食料生産学科に興味のある受験生の皆様へ

食料生産学科とは【学科の詳細はこちら】

生物生産技術の開発と安全・安心な食料の安定供給

食料生産学科は、近年多発している異常気象による農作物の被害を回避し、食料生産を安定させれば良いのか、また、日本などの先進国で深刻な問題となっている生産者の減少と高齢化にどのように取り組むかを、栽培などの生産面、それをサポートする自動機械や植物工場などの機器設備面、生産物の販売や流通などの経営面、これらの3方向からの食料生産をサポートできる人材を育成するための教育と教育の基盤となる様々な研究を行っています。

食料生産学科の対象とする栽培場所は、歴史的に最も古くから利用されている圃場、さらに温室などの施設、最先端の植物工場です。農作物の栽培から収穫、加工、流通、さらにこれらを一気通貫した新しい農業の形である6次産業化までを研究・教育の対象としています。

食料生産学科は、農業生産学コース・植物工場システム学・食料生産経営学の3方向から教育を行う事により、スマート農業に対応するために必要な知識を身につけ、来たるべき社会Society5.0に対応できる人材を育てる事を目標にしています。

講義は、共通性の高い学科共通科目を学んだ後に、各コースの基礎・専門の授業を受けます。

コース一覧

農業生産学コース【詳細はこちら】

こんな教育研究を行っています

21世紀の地球をグローバルな視点から眺めると、人口の急増による食糧不足や人間活動による地球環境の汚染が進むと予想されます。私たちや私たちの子孫の未来をより良いものにするために、これからの新しい農業は地域だけでなく地球全体の環境を考えた持続可能なシステムを作り上げてくことが大切です。
農業生産学コースでは、実際の農作業の体験を通して農業と周囲の環境を理解し、さらに分子生物学など最新のテクノロジーを活用して新たな農業生産技術の確立を目指した教育研究を行っています。

こんな人材を育てます

専門科目や実習、実験、卒業研究等のカリキュラムを通し、作物・植物の栽培方法や生物学の分野からあらゆる食糧の生産に関する知識と技術を身につけ、課題・問題を解決する力を備えた人材を育てます。

農業生産学コースの8つの研究室
作物学
作物の光合成や生産性を科学し、効率的な栽培技術の確立を目指します。
果樹学
様々な果物栽培の問題を科学し、高品質果実の安定生産技術の開発を目指します。
蔬菜花卉学
花や野菜の生理・生態の仕組みを科学し、高品質で収穫の多い栽培技術の確立を目指します。
畜産学
家畜の生理や行動を科学し、効率的な家畜生産技術の確立を目指します。
植物病学
植物病原菌の生態を理解し、病原菌と植物細胞との攻防を科学します。
環境昆虫学
生態や防除技術等、昆虫とその環境を科学します。
分子生物資源学
遺伝子のつくりや働きを科学し、病害に強い作物等の開発を目指します。
土壌肥料学
土壌・植物・大気・水を科学し、持続的で環境にやさしい栽培方法の確立を目指します。

植物工場システム学コース【詳細はこちら】

こんな教育研究を行っています

本コースでは、だれでも、どの地域でも、栽培ができる栽培システムの開発を目指しています。一般に農作物の生産は、生産者が日々の気温や植物の生育状態から経験的に判断して、肥料の追加などの作業を行っています。これにより、植物は順調に生育し、農作物を収穫されます。一方、生産者にとって農作業に関する知識や経験的な判断は一朝一夕では身につかず、地域により気候も異なるので、普遍的な知識として個人で伝えることも難しいのです。そのため、農作物の生産過程に情報通信技術(ICT)を導入することで地域を問わず、農作物の生育に関する膨大なデータを自動的に収集できる装置やシステムを開発しています。また、これらの膨大なデータの解析を行っていくことで農作物生育の経験的知識のシステム化を行っています。
また、我々の研究分野では農作物の生産量・生産品質を安定化できる施設、「植物工場」で研究を行っています。近年、記録的な大雨・大雪や熱波・寒波のような異常気象が毎年のように観測されており、農作物の生産量や品質が不安定になっています。植物工場では気温や湿度等の環境制御を行うことができるため、このような異常気象に遭遇しても安定的な生産が可能になります。また、植物工場では農作物生産のスマート化を目指し、生体情報計測に基づいた植物生育診断ロボットやマニュピレーターを用いた自動収穫ロボット等、人力の作業を出来る限りなくすような技術の実用試験も行っています。

こんな人材を育てます

本コースでは上記のように農作物の生体情報計測からロボット技術の実用試験まで幅広な研究を展開しています。これらの研究を進めていくには、生物学、化学、物理学、地学を網羅する広い知識を必要とします。そのため、我々の研究分野に所属する学生は低学年次には講義によりこれらの広い知識を修得できます。さらに、高学年次には研究に取り組むことで修得知識を実践することとなります。以上のように、我々の研究分野では広範な知識と知識の実践経験を蓄積した人材を育成し、食料生産に関わる諸問題へ俯瞰的に対応できる人材を社会へ送り出しています。

植物工場システム学コースの7つの研究室

各研究室は植物工場における作物の効率的かつ安定的な生産・供給体系の確立を目指し、それぞれのアプローチで研究を行っています。

植物工場情報システム学
植物生体情報と栽培管理の知識ベース化,情報システムのネットワーク化,成育診断のための画像処理などに関する研究を行っています。
緑化環境工学
植物工場・温室における環境調節および植物診断について研究を行っています。また、居住空間への植物の配置で発生する環境変化や人間の心理的変化を調べ、居住空間における人間の快適性向上を目指します(グリーンアメニティ)。
植物細胞システム計測学
栽培植物の生育する環境(養分,温度,乾燥,光条件)が与えるストレスと植物の応答反応を組織・細胞・分子レベルで生理学的に研究しています。
環境植物学
植物の環境応答や細胞代謝の制御機構について,分子細胞生物学・生化学的アプローチで研究しています。
農業機械システム工学
植物工場での情報計測および各種作業支援機能を有した知能ロボット,省エネ型農業機械など,農業を産業として支えるために必要な工学的技術やシステム開発に関する研究を行っています。
流通工学
農産物の品質保持及び付加価値向上に役立つ流通技術の開発およびその最適化について研究を行っています。
植物工場設計工学(井関農機)
太陽光利用型植物工場における機械・施設の設計と栽培・環境制御に関する研究及びそれらの技術の現場利用に関する研究を行っています。

食料生産経営学コース【詳細はこちら】

こんな教育研究を行っています

一般的に生産者といわれる農家や畜産家、漁業者は、農産物や畜産物、水産物を生産したり獲得したりするだけでは経営は成り立ちません。生産者は、生産者から消費者までつながる生産・流通システムが構築されることで自分たちが生産したものを売ることができ、初めて経営が成り立つのです。また、消費者も生産・流通システムが構築されていないと食料を購入して食べていくことができません。
しかしながら、安定した食料の生産・流通システムの構築のためには、農林水産業を取り巻く貿易問題、資源問題、制度の問題など、生産者の経営問題以外にも解決すべき課題が数多くあります。
食料生産経営学コースでは、現代の食料問題や食料の生産・流通システムと生産者の経営について、経済学や経営学、政策学といった社会科学的な側面から学び考えられる力、食料生産に関する諸課題を解決する力を身につけてもらうための教育研究活動を行っています。

こんな人材を育てます

専門科目や実習(セミナー)、卒業研究等のカリキュラムを通し、社会科学の視点からあらゆる食料の生産に関する知識と技術を身につけ、課題・問題を解決する力を備えた人材を育てます。

食料生産経営学コースの5つの研究室
地域資源管理
食料生産と関連深い資源(農地、水、バイオマス等)の管理の方法について社会科学の視点から研究します。
農業政策
安定的な食料生産・流通を可能にする制度のあり方について政策的な視点から研究します。
農業経営学
安定的な農業経営を可能とする農業のあり方について研究します。
水産経営
持続可能な水産業のあり方について研究します。
アグリビジネス
農産物貿易や農業に関する多国籍企業への視点から食料生産・流通のあり方について研究します。

カリキュラムマップ・アドミッションポリシー他

カリキュラムマップ

PDFで見る

アドミッションポリシー

求める入学者像

食料生産学科は,栽培,管理から収穫,加工,流通,販売,経営までの一連のプロセスを俯瞰できる広い視野をもち,農業の6次産業化,生物生産技術の開発と安全・安心な食料の安定供給の実現に意欲的に取り組むことができる学生を求めます。そのため,一般入試に加えて,学校推薦や自己推薦などの様々な入試方法も採用しています。
そこで,食料生産学科は次のような資質を有する学生を求めます。

知識・理解
  1. 高等学校で履修した主要教科・科目について,教科書レベルの基礎的な知識を有している。
  2. 次のいずれかに該当する。
    1. 高等学校で履修した主要教科・科目について,教科書レベルの課題を解くことができる。
    2. 農業,工業,商業などに関する専門的な知識・技術を有しているか,高等学校で選択履修した 教科・科目について実践的・体験的学習から得られた知識・知見・技術を有している。
思考・判断

ある事象に対して多面的に考察し,自分の考えをまとめることができる。

関心・意欲,態度

地域社会や国際社会における食料,生命,環境に関する様々な問題に関心をもち,身に付けた知識をこれらの解決に役立てたいという意欲をもっている。

技能・表現

自分の考えを,日本語で他者にもわかりやすく表現できる。

教育内容・数育方法の特徴

ディプロマ・ポリシー

育成する人材像

農学部の教育理念に基づいた農学教育を提供することにより,生物生産技術の開発と安全・安心な食料の安定供給を実現し,自然と共生する持続可能な社会の構築に貢献できる人材を育成します。具体的には,

  • 栽培・生物学分野から食料生産における知識と技術を習得し,課題解決力を備えた人材
  • 最先端の植物工場や施設栽培に関する知識と技術を習得し,課題解決力を備えた人材
  • 食の安全安心を担保するための社会科学的な知識と技術を習得し,課題解決力を備えた人材

を輩出することを目指します。

知識・理解

安全・安心な食料の安定供給を実現するための必要な,栽培,管理から収穫,加工,流通,販売,経営までの一連のプロセスに関する専門知識と技術を修得している。

思考・判断

地域社会や国際社会における食料,生命,環境に関連する諸課題,特に食料に関連する諸課題の原因を論理的に説明でき,解決策を見出すことができる。

関心・意欲,態度

上記の諸課題を解決するため,主体性,協調性および高い倫理性をもって,自律的・継続的に行動することができる。

技能・表現

自らの論理的な思考・判断のプロセスや結果を説明するためのプレゼンテーション能力とコミュニケーション能力を修得している。

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